
夜光塗料ラジウム はじめに
1950年代に注目を受けたマテリアル・夜光塗料のラジウム。ラジウムの特徴や歴史背景などを【時計ヲタ】【知的好奇心の高い方】向けに10分ほどで目通しできるコンテンツがこちらです。時計の進化・発展を語る上で外せない存在が夜光塗料の存在です。なぜなら、19世紀初頭まで街の中に街灯が充実しておらず、人々は暗闇の中で刻を調べる術がなかったのです。

夜光塗料ラジウム 歴史
さて、夜光塗料の歴史を語る上で避けられないのが、悲しい現実でもあるラジウムガールズの存在です。こちらは後ほど詳細を後述します。1950年代、アメリカ・コロラド州やニューメキシコ州、アリゾナ州、ユタ州などでウラン鉱石(ウラン鉱石からラジウムが発見されました)が多く発見されました。これをゴールドラッシュならぬ、ウランラッシュといい全米からガイガーカウンター(放射線測定器)やツルハシを持参してこれらの地域へ人々が集まりました。

発掘されたウラン鉱石の中にはカルノー石があります。カルノー石から精錬してラジウムを抽出するのです。当時のアメリカではラジウムに対する認識は正確に把握されておらず、ラジウムの放射能の危険性はほぼ皆無だったようです。企業によっては、飲料水タンクなどへラジウムを混ぜて販売をしていたほど。とんでもなく恐ろしいですよね。(引用元 NATIONL GEOGRAPHIC : https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2177/)
ラジウムガールズ

1950年代、時計の文字盤へラジウムを塗布する工場の女性たちがいました。先述した通り、アメリカではラジウムの危険性を正しく理解がされていなかった時代です。その頃の工場では、ラジウムを塗布する筆先へLip Dip Paint(口で筆先を整えること)を奨励していました。放射能の危険をはらむラジウムを直接口へ運んでしまっていたのです。その後重度の病気になってしまう女性が多かったそうです。このことから彼女たちをラジウムガールズと呼ぶそうです。
夜光塗料ラジウム まとめ
1950年代から70年以上が経ち、時計の文字盤に塗布する素材も変化してきました。今日ではラジウムからトリチウムを経てルミノバという人体への影響がない素材の開発運用が行われています。夜光塗料の発展がそのまま時計の発展や普及に繋がったのと思います。わずか、文字盤の針やインデックスに塗布する素材ですが、重く悲しい歴史が存在しています。先人たちの経験や歴史の上で今の私たちの快適な生活があるのですね。
参考元
NATIONAL GEOGRAPHIC : https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/071800380/
KASUGA BIYORI : https://aando-since1993.com/kasugabiyori/2021/07/25/%E6%99%82%E8%A8%88%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%A4%9C%E5%85%89%E5%A1%97%E6%96%99%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%80%80%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%80%81%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6/?srsltid=AfmBOoqQegwX6RmKef7gkVYpYq5hcX1GnGARsPgaODtNNiT_41usOWd0