グランドセイコーの腕時計を初めて目にしたとき、多くの人がその美しいケースの輝きに魅了されます。
その美しさを支えている代表的な技術がザラツ研磨です。
しかし、ザラツ研磨は単にケースを光らせるだけの加工ではありません。ケース表面を極めて平らに仕上げることで、歪みのない鏡面とシャープな稜線を生み出し、グランドセイコーならではの存在感を演出しています。
今回、筆者は長野県塩尻市の「信州 時の匠工房」を訪問し、ケース製造や研磨工程を見学しました。
本記事では、実際に見学して分かった製造工程や職人のこだわりを交えながら、ザラツ研磨の魅力を詳しくご紹介します。
目次
グランドセイコーのザラツ研磨とは?
ザラツ研磨とは「歪みのない鏡面」を生み出す技術
ザラツ研磨とは、ケース表面を極めて平滑に磨き上げる特殊な研磨技術です。
一般的な鏡面仕上げでは、細かな凹凸や歪みが残ることがあります。
一方、ザラツ研磨ではケースの平面を崩さずに磨き上げることで、景色が鏡のように美しく映り込む鏡面を実現しています。
この歪みのない鏡面こそが、グランドセイコーの高級感を象徴する大きな特徴です。
一般的な鏡面仕上げとの違い
一般的な鏡面仕上げは、表面に光沢を与えることが目的です。
一方、ザラツ研磨では、平面を正確に維持したまま磨き上げることが重視されます。そのため、光の反射が均一になり、ケースのエッジや面の美しさがより際立ちます。
なぜグランドセイコーを象徴する技術なのか
グランドセイコーは、日本の自然が生み出す「光と影」の美しさをデザインに取り入れています。
ザラツ研磨による歪みのない鏡面は、光を美しく反射し、陰影を際立たせます。この繊細な表現こそが、グランドセイコーのデザイン哲学を支える重要な要素です。
なぜ「ザラツ研磨」と呼ばれるのか?
「ザラツ研磨」という名称は、かつてセイコーが導入した研磨機のメーカー名である「Sallaz(ザラツ)」という名称に由来しています。
現在では、その研磨機を使用した加工方法だけでなく、グランドセイコーの美しいケース仕上げを支える研磨技術そのものを「ザラツ研磨」と呼んでいます。
ザラツ研磨は、単に表面を磨いて光沢を出す技術ではありません。ケースを研磨盤へ当てる角度や力加減、研磨する時間などを職人が細かく調整することで、歪みの少ない美しい鏡面とシャープな稜線を実現しています。
ザラツ研磨は高度な機械加工だけで完成するものではありません。長年培われた職人の経験や感覚によって、ケースの角度や仕上がりを細かく確認しながら、美しい外装へと仕上げられています。
「信州 時の匠工房」で見たグランドセイコーのケース製造工程|取材レポート
実際に筆者は、長野県塩尻市にある「信州 時の匠工房」を訪れ、グランドセイコーのケースが完成するまでの一部の工程を見学しました。
「信州 時の匠工房」では、ケース製造からザラツ研磨、ヘアライン仕上げまで、それぞれの工程を熟練した職人が担当し、一つのケースが完成するまでには多くの技術と時間が費やされていることを実感しました。
ケース製造は長い歴史の中で受け継がれる技術
「信州 時の匠工房」では、初代グランドセイコーを生み出した諏訪精工舎から続く時計づくりの精神と技術が受け継がれています。
長年培われてきた高精度な加工技術は、セイコーの時計づくりを支え続け、現在ではグランドセイコーのケース製造にも活かされています。
「信州 時の匠工房」では、ケースの製造や仕上げなど、外装部品の製造から組立調整まで幅広い工程を担っています。
また、セイコーの歴史を語るうえで欠かせない存在が、1969年に誕生した世界初のクオーツ腕時計「セイコー アストロン」です。

長年培われてきた精密加工技術は、「セイコー アストロン」をはじめとする革新的な時計づくりの基盤となり、その技術は現在のグランドセイコーの高品質なケース製造にも受け継がれています。
高精度な金型づくりからケース製造は始まる
ケース製造は、金属を加工する前段階である金型づくりから始まります。
ケースの形状や寸法を決める金型は、わずかな誤差も許されないほど高い精度が求められます。
この金型の品質が、その後のプレス加工や研磨工程の仕上がりを左右するため、ケース製造において非常に重要な工程です。
プレス加工を繰り返し、美しい形状をつくる
金型が完成すると、ケースはプレス加工によって成形されます。
工房では、一度の加工で完成させるのではなく、専用の金型を用いて複数回プレス加工を繰り返しながら、少しずつ理想の形へと仕上げていくと説明を受けました。
こうした工程を丁寧に積み重ねることで、グランドセイコーならではの精密なケース形状が生み出されています。
限られた素材から生み出される高品質なケース
見学で印象に残ったのは、ケース素材を無駄なく活用しながら、高い精度で加工している点です。
説明では、円柱状の素材から製造できるケース数は限られており、一つひとつの素材を大切に加工していることを伺いました。
素材選びから加工工程まで妥協しない姿勢が、グランドセイコーの美しい外装品質を支えています。

このように素材の選定から加工まで妥協することなく品質を追求する姿勢が、グランドセイコーの美しい外装を支えているのです。
ザラツ研磨がグランドセイコーならではの輝きを生み出す
歪みのない鏡面仕上げ
ザラツ研磨最大の特徴は、ケース表面を極めて平らに仕上げることで、鏡のような映り込みを実現する点です。平面が正確だからこそ、周囲の景色が歪みなく映り込みます。
光と影が織りなす立体感
ザラツ研磨によって仕上げられたケースは、光の当たり方によって豊かな表情を見せます。
面ごとに反射の仕方が異なるため、腕を動かすたびに陰影が生まれ、立体感のある美しさを楽しめます。
ヘアライン仕上げも職人による手作業
「信州 時の匠工房」では、ザラツ研磨だけでなくヘアライン仕上げも職人による手作業で行われています。
ヘアライン仕上げは、ケース表面に一定方向の細かな筋目を付ける加工です。
筋目の幅や方向がわずかでも乱れるとケース全体の印象が変わるため、高い集中力と熟練した技術が求められます。
鏡面とヘアラインを磨き分けることで、グランドセイコー特有の立体感と高級感が生まれています。
グランドセイコーの美しさを支える職人技
工房では、最新設備だけでなく、人の技術が品質を支えていることが印象的でした。
ケース製造や研磨工程では、それぞれの工程を熟練した職人が担当しています。
機械だけでは表現できない繊細な仕上がりは、長年培われた経験と感覚によって実現されています。
グランドセイコー ザラツ研磨に関するよくある質問
Q. ザラツ研磨とは何ですか?
ケース表面を歪みなく平らに仕上げる特殊な研磨技術です。
Q. ザラツ研磨は傷が付きやすいですか?
鏡面部分には細かな擦り傷が付くことがありますが、これは一般的な鏡面仕上げと同様です。
Q. ザラツ研磨はどのグランドセイコーに採用されていますか?
多くのグランドセイコーのケース仕上げに採用されており、モデルごとに異なるデザインの中で、美しい鏡面やシャープな稜線を生み出しています。
Q. ヘアライン仕上げとの違いは?
ザラツ研磨は鏡面仕上げ、ヘアライン仕上げは細かな筋目を付ける仕上げで、それぞれ異なる質感を生み出します。
Q. メンテナンス時にザラツ研磨は再現できますか?
メーカーでのオーバーホールや外装仕上げでは、モデルや状態に応じて本来の美しさを保つための仕上げが行われます。
ただし、素材の状態や傷の深さによっては新品同様に仕上がらない場合もあります。
まとめ|ザラツ研磨はグランドセイコーの美しさを支える伝統技術
ザラツ研磨は、単なる鏡面仕上げではなく、ケースの平面や稜線を正確に整えながら、美しい光と影を表現するグランドセイコー独自の外装技術です。
今回、長野県塩尻市にある「信州 時の匠工房」を訪れ、ケース製造から研磨、ヘアライン仕上げまでの一部工程を見学したことで、その美しさは一つの技術だけではなく、職人による手仕上げなど、多くの工程の積み重ねによって実現していることを実感しました。
製造工程には高い品質を維持するための技術やノウハウが数多く存在しており、多くの工程と職人の技術が積み重なることで、グランドセイコーならではの美しい外装が完成していることを実感しました。
光の当たり方によって表情を変えるザラツ研磨の美しさは、ぜひ実物でご覧いただきたいポイントです。
当店では、ヘリテージコレクション、エレガンスコレクション、スポーツコレクションといった様々なグランドセイコーをご用意しております。
実際にグランドセイコーの時計を腕に着けていただくことで、ザラツ研磨ならではの美しい輝きや、職人技が生み出す上質な質感をご体感いただけます。
グランドセイコーをご検討中の方や、ザラツ研磨の美しさを実際に見てみたい方は、ぜひお気軽にご来店ください。
スタッフがお客様にぴったりの一本選びをお手伝いいたします。
グランドセイコーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
グランドセイコー取り扱い店「ブルージュ一真堂」

ブルージュ一真堂の店舗外観
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