SEIKOの本格ダイバーズウオッチの中でも、ひときわ高い存在感を放つ「マリンマスター」。
1965年に誕生した国産初のダイバーズウオッチを原点に、1968年の「ハイビートムーブメント」、1975年の「チタン製600m飽和潜水仕様」、1986年の「1,000mダイバーズ」など、SEIKOは半世紀以上にわたり過酷な潜水環境に対応するための技術を磨き続けてきました。

本記事では、「マリンマスター」の特徴や立ち位置を解説。
さらに、1965年から現在に至るまでのセイコーダイバーズの歴史をたどりながら、「マリンマスター」へ受け継がれてきた技術と進化の軌跡を詳しくご紹介します。
目次
- 1 SEIKO プロスペックス 「マリンマスター」とは?
- 1.1 本格派ダイバーズウオッチとしての立ち位置
- 1.2 「マリンマスター」のルーツとなる1965年の国産初ダイバーズ
- 1.3 1968年世界最高水準の10振動ハイビートを搭載
- 1.4 1975年「ツナ缶」の愛称で知られるプロフェッショナルダイバーが誕生
- 1.5 1978年クオーツ技術を取り入れた600m飽和潜水仕様ダイバーズウオッチへ
- 1.6 1986年世界初のセラミックス製外胴を採用した1,000m飽和潜水仕様のダイバーズウオッチ
- 1.7 1990年ダイバーズウオッチは「潜水を支えるコンピュータ」へ
- 1.8 2000年マリーンマスター ダイビングコンピュータへ
- 1.9 2005年スプリングドライブを搭載した飽和潜水仕様
- 1.10 2013年・2015年プロフェッショナルダイバーズのさらなる進化
- 1.11 現在の「マリンマスター」へ
- 1.12 「1968 メカニカルダイバーズ」のDNAを受け継ぐSBDX063
- 1.13 ダイバーズ専用メカニカルムーブメントと信頼性
- 1.14 圧倒的な暗所視認性を誇る「ルミブライト」
- 2 SEIKO プロスペックス「マリンマスター」と「マリンマスター プロフェッショナル」の違い
- 3 まとめ|半世紀以上の技術を受け継ぐSEIKO プロスペックス「マリンマスター」
- 4 SEIKO(セイコー)取扱い店舗 ブルージュ一真堂
SEIKO プロスペックス 「マリンマスター」とは?
本格派ダイバーズウオッチとしての立ち位置
SEIKO プロスペックス(PROSPEX)は、ダイビングやトレッキングなど、スポーツやアウトドアシーンに対応する本格的な機能を備えたスポーツウオッチブランドです。
その中でも「マリンマスター」は、セイコーが長年にわたって培ってきたダイバーズウオッチの技術を結集した、セイコーダイバーズのフラッグシップシリーズとして位置づけられています。
ダイバーズウオッチ専用に設計された高性能ムーブメントを搭載し、ケースやベゼル、リューズなど外装の細部に至るまで、SEIKO独自の技術が注ぎ込まれていることが特徴です。
現在の「マリンマスター」には、1965年や1968年の歴史的なダイバーズウオッチをルーツとするモデルがラインアップされています。
では、なぜ「マリンマスター」はセイコーダイバーズを代表するシリーズとなったのでしょうか。
その背景には、1965年から半世紀以上にわたって続けられてきた、過酷な環境に挑戦するための技術開発の歴史があります。
「マリンマスター」のルーツとなる1965年の国産初ダイバーズ
SEIKOのダイバーズウオッチの歴史は、1965年に誕生した国産初のダイバーズウオッチから始まります。
1965年に発売されたモデルは、自動巻ムーブメントを搭載した150m防水のダイバーズウオッチでした。
その高い信頼性から、1966年から4回にわたって南極地域観測隊に使用されるなど、海だけでなく極地や山岳など過酷な環境でその性能を発揮しました。
この1965年モデルは、現在のセイコーダイバーズにおけるデザインと技術の原点ともいえる存在です。

1968年世界最高水準の10振動ハイビートを搭載
1968年には、当時としては異例の10振動ハイビートムーブメントを搭載した「300m空気潜水モデル」を発表。

高い精度を実現するムーブメントと、深海での使用を想定した堅牢なケース構造を組み合わせることで、当時として画期的なダイバーズウオッチとなりました。
その性能は、1970年に植村直己氏がエベレスト登頂時に携行したことでも知られています。
1968年モデルが現在のマリンマスターに与えた影響は大きく、現行の「マリンマスター 1968 ヘリテージ」では、そのデザインコードを受け継ぎながら、現代の技術によって再構築されています。
1975年「ツナ缶」の愛称で知られるプロフェッショナルダイバーが誕生
SEIKOのダイバーズウオッチの歴史において、もう一つ大きな転換点となったのが1975年です。
1968年、深海作業に従事する方からセイコーに、「水深300mを超える海底で長期間の作業に耐えられる腕時計がない」という趣旨の要望が寄せられました。
この要望をきっかけに、セイコーは研究と実験を重ね、1975年に「プロフェッショナルダイバー600m」を完成させます。

このモデルは、世界で初めてチタン素材をケースに採用したダイバーズウオッチであり、600m飽和潜水用防水仕様を実現しました。
さらに、裏ぶたのないワンピースケースを採用することで、水圧に対して有利な構造を実現。
高圧ヘリウム混合ガスの侵入を可能な限り遮断するため、L字型ガラスパッキンやリューズのツインサイドシールド構造、ねじリングガラス固定構造など、独自の技術が投入されました。
この1975年モデルは、その独特な外観から後に「ツナ缶(Tuna Can)」という愛称で親しまれるようになります。
また、SEIKOでは、このモデルの外装だけで20件以上の特許を有していたことも紹介されています。
1975年のプロフェッショナルダイバーは、SEIKOが「深く潜れる時計」だけではなく、「深海でプロフェッショナルが使える時計」を追求していたことを象徴するモデルといえるでしょう。
1978年クオーツ技術を取り入れた600m飽和潜水仕様ダイバーズウオッチへ
1975年に誕生したプロフェッショナルダイバーは、セイコーダイバーズの歴史に大きな転換をもたらしました。そして3年後の1978年、SEIKOはさらに新たな技術へ挑戦します。
1978年には、世界初となるクオーツ式の600m飽和潜水仕様ダイバーズウオッチを発売しました。
これは、機械式ムーブメントだけでなく、セイコーが得意としていたクオーツ技術を本格的なプロフェッショナルダイバーズにも取り入れたモデルです。
この1978年のモデルは、1983年に海洋科学技術センター(現在の海洋研究開発機構)の潜水調査船「しんかい2000」によって、水深1,062mの環境に耐えられることが実証されています。
そして、このクオーツ式プロフェッショナルダイバーズの技術は、さらに深い水深へと進化していきます。
1986年世界初のセラミックス製外胴を採用した1,000m飽和潜水仕様のダイバーズウオッチ
1986年、SEIKOはプロフェッショナルダイバーズをさらに進化させます。
登場したのが、世界で初めてセラミックスを外胴プロテクターに採用した1,000m飽和潜水仕様のダイバーズウオッチです。
1975年モデルで採用されたチタン製ケースとワンピース構造という考え方を受け継ぎながら、外胴プロテクターにセラミックスを採用。
軽量で耐食性に優れ、高い強度を持つセラミックスとチタンを組み合わせることで、1,000mという深海での使用を想定した高い気密性・水密性を実現しました。
この1986年モデルは、現在の「マリンマスター プロフェッショナル」へとつながる重要な系譜の一つです。
1975年に確立されたチタンと外胴プロテクターの技術は、1986年にはセラミックスという新たな素材を取り入れ、さらに高い水深に対応するプロフェッショナルツールへと進化しました。
1990年ダイバーズウオッチは「潜水を支えるコンピュータ」へ
SEIKOのダイバーズウオッチの進化は、ケースや素材だけではありません。
1990年には、世界初となるダイビングコンピューターを搭載した腕時計「スキューバマスター」が登場しました。
潜水時間や水深を計測するだけでなく、水面休止時間の測定や次の潜水における無減圧潜水情報の計算・表示など、多彩な機能を備えていました。
従来の「時刻を確認する時計」とは異なる役割を持ったダイバーズウオッチです。
これは、SEIKOがダイバーズウオッチに求める機能を、単純な防水性能や耐久性だけに限定していなかったことを示す象徴的なモデルでもあります。
「深海に耐える時計」から、「潜水そのものをサポートする時計」へ。SEIKOのダイバーズ技術は、新たな領域へと広がっていきました。
2000年マリーンマスター ダイビングコンピュータへ
1990年のスキューバマスターから10年。
2000年には、その技術をさらに発展させた「マリーンマスター ダイビングコンピュータ」が登場します。
1990年モデルが最高深度と潜水時間から計算する「ボックスダイビング」に対応していたのに対し、2000年モデルでは潜水中の水深変化を記録する「マルチレベルダイビング」に対応。
さらに、潜水プロファイルを記録する機能やログデータメモリーを備え、ナイトロックスダイビングにも対応しました。
この時代のセイコーダイバーズは、機械式時計の進化だけでなく、センサーや電子制御技術を取り入れることで、プロフェッショナルの潜水をより多角的にサポートしていました。
2005年スプリングドライブを搭載した飽和潜水仕様
そして2005年には、SEIKO独自の「スプリングドライブ」を搭載した飽和潜水仕様のダイバーズウオッチが登場します。
スプリングドライブは、ぜんまいを動力源としながら、電子制御によって高い精度を実現するセイコー独自の駆動機構です。
2005年のモデルでは、このスプリングドライブをプロフェッショナルダイバーズに採用。
ブライトチタンやサファイアガラスなども組み合わせ、堅牢性と耐久性を追求した600m飽和潜水仕様のダイバーズウオッチへと仕上げられました。
▷▷グランドセイコーのスプリングドライブについて詳しくはこちら
2013年・2015年プロフェッショナルダイバーズのさらなる進化
2010年代に入ると、SEIKOはこれまで培ってきたプロフェッショナルダイバーズの技術を、さらに高性能なムーブメントや素材と組み合わせていきます。
2013年には、スプリングドライブとチタン製外胴プロテクターを組み合わせた600m飽和潜水仕様のプロフェッショナルダイバーズが登場。
さらに2015年には、ダイバーズウオッチ専用に開発されたメカニカルハイビートキャリバー8L55を搭載したモデルも登場しました。
こうしてSEIKOのダイバーズウオッチは、機械式、クオーツ、スプリングドライブといった異なるムーブメント技術を、それぞれの用途に合わせて発展させていきました。
現在の「マリンマスター」へ
長年にわたる技術開発の積み重ねを、現在のセイコーダイバーズのフラッグシップとして体現しているのが「マリンマスター」です。
SEIKO公式では、マリンマスターを「ダイバーズウオッチ専用に設計された高性能ムーブメントを搭載し、外装の造形や部品の細部に至るまでセイコーが培ってきた技術の粋が注ぎ込まれた、セイコーダイバーズのフラッグシップシリーズ」と位置づけています。
現在のマリンマスターには、1965年と1968年というセイコーダイバーズの原点を受け継ぐモデルが展開されています。
1965年のデザインコードを受け継ぐ「マリンマスター 1965 ヘリテージ」。

そして1968年のプロフェッショナルダイバーズのデザインコードを受け継ぐ「マリンマスター 1968 ヘリテージ」です。

「1968 メカニカルダイバーズ」のDNAを受け継ぐSBDX063
現在のマリンマスターを代表するモデルの一つが「SBDX063」です。
「マリンマスター 1968 ヘリテージ」として、1968年の歴史的モデルのデザインコードを受け継ぎながら、現代の技術で仕上げられています。

搭載されるのは、ダイバーズウオッチ専用のメカニカルムーブメント「Cal.8L35」。
8振動の自動巻ムーブメントで、約50時間のパワーリザーブを備えています。ケースはステンレススチール製で、300m空気潜水用防水を実現しています。
つまり、SBDX063は「1968年モデルをそのまま復刻した時計」ではありません。
1968年に生まれたデザインコードを受け継ぎながら、現代のムーブメント、素材、外装技術によって実用性を高めた、現代のマリンマスターとして設計されています。
ダイバーズ専用メカニカルムーブメントと信頼性
マリンマスターの機械式モデルの心臓部には、セイコーが誇る高級時計専門の製造拠点「雫石高級時計工房」で仕立てられた特別なムーブメントが搭載されています。
代表的な「8L35」をはじめ、GMT機能を備えた「8L45」などの8L系キャリバーは、最高峰ブランド「グランドセイコー」に搭載される高級メカニカルムーブメントをベースに、過酷なダイビング環境に耐えるよう堅牢性と耐久性を強化したダイバーズ専用設計です。
こうしたダイバーズ専用ムーブメントの採用により、過酷な環境での使用を想定した堅牢性と信頼性を追求しています。
圧倒的な暗所視認性を誇る「ルミブライト」
深海や夜間における視認性は、ダイバーにとって生命線です。
SEIKO独自の蓄光塗料「ルミブライト」は、光を蓄えて暗所で発光し、ダイビングなど暗い環境での高い視認性をサポートします。
明るい場所から暗闇に入った瞬間に鮮烈に輝くグリーンの発光は、実用性だけでなく所有する満足感を格段に高めてくれます。
SEIKO プロスペックス「マリンマスター」と「マリンマスター プロフェッショナル」の違い
「マリンマスター」|歴史的なデザインと現代の技術を融合
「マリンマスター」は、SEIKOが長年培ってきたダイバーズウオッチの技術を受け継ぎながら、歴代モデルのデザインコードを現代の技術で再構築したフラッグシップシリーズです。
SEIKOでは、ダイバーズウオッチ専用に設計された高性能ムーブメントを搭載し、外装の造形や部品の細部に至るまで、セイコーが培ってきた技術の粋を注ぎ込んだシリーズと位置づけています。
現在のラインアップには、1965年のダイバーズウオッチをルーツとする「マリンマスター 1965 ヘリテージ」と、1968年のダイバーズウオッチをルーツとする「マリンマスター 1968 ヘリテージ」が展開されています。
代表的なモデルとして、1965年のデザインコードを受け継ぐ「SBEN007」や、1968年モデルを現代的に再構築した「SBDX063」「SBDX065」などが挙げられます。
つまり「マリンマスター」は、セイコーダイバーズの歴史的な意匠を大切にしながら、現代のムーブメントや外装技術を融合させたシリーズといえるでしょう。
「マリンマスター プロフェッショナル」|極限環境のための本格ダイバーズ
一方、「マリンマスター プロフェッショナル」は、より過酷な潜水環境での使用を想定した、本格的なプロフェッショナルダイバーズウオッチです。
SEIKOでは、50年にわたり培われた技術開発の集大成として、「世界最高峰の性能をそなえ、世界各国のプロダイバーから絶大な信頼を得ている真のダイバーズウオッチ」と紹介されています。
現在の公式ラインアップには、1,000m飽和潜水用防水を備えたクオーツモデル「SBBN047」や、300m飽和潜水用防水とワンピース構造を採用したメカニカルモデル「SBDX023」がラインアップされています。

特に「SBBN047」は、SEIKOのプロフェッショナルダイバーズの系譜を受け継ぐ外胴プロテクターを備え、1,000m飽和潜水用防水、ワンピース構造、ダイバーズ専用クオーツムーブメント「Cal.7C46」を搭載しています。
また、「SBDX023」は「キャリバー8L35」を搭載したメカニカルモデルで、300m飽和潜水用防水とワンピース構造を採用。1968年に誕生したプロフェッショナルダイバーズの系譜を受け継ぐモデルです。

まとめ|半世紀以上の技術を受け継ぐSEIKO プロスペックス「マリンマスター」
SEIKO プロスペックス「マリンマスター」は、1965年に誕生した国産初のダイバーズウオッチを原点に、半世紀以上にわたって培われてきたSEIKOのダイバーズ技術を受け継ぐフラッグシップシリーズです。
1968年の10振動ハイビートムーブメント、1975年のチタン製600m飽和潜水仕様、1986年のセラミックス製外胴プロテクターを採用した1,000mダイバーズなど、SEIKOは時代ごとに新しい技術や素材を取り入れながら、過酷な潜水環境に対応するダイバーズウオッチを追求してきました。
その技術の系譜は、現在の「マリンマスター」と「マリンマスター プロフェッショナル」に受け継がれています。
「マリンマスター」は、1965年や1968年といった歴代ダイバーズウオッチのデザインコードを受け継ぎながら、現代のムーブメントや外装技術を融合させたシリーズ。
一方で、「マリンマスター プロフェッショナル」は、外胴プロテクターやワンピース構造、飽和潜水用防水など、極限環境での使用を想定したプロフェッショナルダイバーズの系譜を受け継ぐシリーズです。
デザインや歴史的背景を楽しみながら日常でも使いたい方には「マリンマスター」、より本格的な堅牢性やプロフェッショナルダイバーズとしての性能を重視する方には「マリンマスター プロフェッショナル」が適しています。
また、メカニカルモデルならではの精密な機械構造を楽しみたい方、クオーツならではの高い実用性を求める方など、駆動方式によっても選び方は変わります。
単に「防水性能が高い時計」というだけではなく、半世紀以上にわたるSEIKOの技術開発の歴史そのものを腕元で楽しめることが、「マリンマスター」の大きな魅力です。
歴代モデルから受け継がれたデザインと、現代の技術によって進化した性能。その両方を楽しめる「マリンマスター」は、セイコーダイバーズの歴史と未来をつなぐ一本といえるでしょう。
SEIKO(セイコー)取扱い店舗 ブルージュ一真堂
長野東ICから車で約10分、長野駅前から車で約10分。
ブランド時計正規取扱店「ブルージュ一真堂」駐車場25台完備。













