【機械式時計】リューズの正しい扱い方をプロが指南。注意点も網羅した完全ガイド

腕時計のリューズを操作してゼンマイを巻く男性高級な機械式時計を所有する喜びの一つは、ご自身の手で時計に息吹を吹き込む作業にあります。時刻合わせやカレンダーの調整、そして動力となるゼンマイの巻き上げなど、すべての基本となるのが「リューズ(竜頭)」の操作です。

正規の時計専門店で新品を購入すれば詳しいレクチャーを受けられますが、ヴィンテージウォッチを譲り受けたり、二次流通(中古市場)で手に入れた場合、正しい扱い方を学ぶ機会がないままお使いの方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、時計業界に20年以上携わってきた筆者が、大切な愛機を守るための「正しいリューズ操作」を解説いたします。クォーツ(電池式)時計にも共通するポイントが多いため、ぜひご一読ください。

 

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機械式時計の要「リューズ(竜頭)」の役割

腕時計のリューズ

時計のケース側面(主に3時方向)に配置されているつまみがリューズです。

機械式時計の内部構造イメージ図
機械式時計:内部構造のイメージ図

内部の精巧なムーブメントとは「巻真(まきしん)」と呼ばれる金属軸で連結しており、このつまみを引き出したり回したりすることで、時計への様々な指示を伝達します。(※電波時計など、一部のモデルは構造や操作の概念が異なります)

 

ポジション別:リューズの基本操作マニュアル

タグ・ホイヤーの腕時計 カレラ デイデイト WDA2110.FC6614リューズの引き出し具合(ポジション)によって、実行できる操作が変わります。お手持ちの時計の仕様(複雑機構の有無など)により例外もあるため、メーカーの取扱説明書も併せてご参照ください。ここでは最もスタンダードなモデルの操作方法をご紹介します。

リューズの基本操作①引き出さない状態(基本位置):ゼンマイの巻き上げ(機械式のみ)
②1段引き:日付(カレンダー)の早送り
③2段引き:時刻の調整(針回し)

それぞれの具体的な手順は以下の通りです。

 

基本位置:手動でのゼンマイ巻き上げ

腕時計のリューズ、基本位置
リューズ:基本位置

リューズを引き出さず、そのまま上方向(12時側)へ回すことで、ゼンマイを手巻きできます。下方向に回してもカチカチと空回りするだけですので、上方向への回転を繰り返してください。
手巻き時計の場合は毎日のルーティンとして、自動巻きモデルであっても完全に止まった状態から使い始める際は、まず手動で数十回ほど動力をチャージしておくことで、時計の精度が安定しやすくなります。

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1段引き:カレンダー(日付)の調整

腕時計のリューズを1段引きした状態
リューズ:1段引き

リューズを1段階カチッと引き出すと、日付表示を進めることができます(早送りのみで、戻すことはできません)。曜日表示も備えたデイデイトモデルの場合は、リューズの上回し・下回しで日付と曜日をそれぞれ変更できる仕様が一般的です。
また、GMT機能搭載機などでは、このポジションで短針(時針)のみを単独で動かせるものも存在します。

【関連記事】

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2段引き:時刻のセッティング

腕時計のリューズ、2段引きの状態
リューズ:2段引き

さらにリューズを引いて2段目にすると、長針(分針)を動かして時刻を合わせられます。針は逆回し(反時計回り)させることも可能ですが、内部の歯車は時計回りに進むよう作られているため、基本的には時間を進める方向で合わせるのが時計に優しい操作と言えます。

 

秒針を停止させる「ハック機能」

リューズを2段引きすると、秒針が止まる機構

時刻調整のためにリューズを2段目まで引いた際、秒針の動きもピタリと止まる機構を「ハック機能」と呼びます。現行モデルの多くに標準装備されており、時報などに合わせて秒単位の正確なセッティングをするのに役立ちます。ただし、1960年代以前のアンティーク時計や、一部の手巻き時計には搭載されていないことも珍しくありません。

 

防水性を高める「ねじ込み式リューズ」

タグ・ホイヤーの腕時計 アクアレーサーのねじ込み式リューズダイバーズウォッチを筆頭に、高い防水性が求められる時計には「ねじ込み式リューズ」が採用されています。水分や埃の侵入を防ぐため、ネジを使ってケースにリューズを密着・固定させる仕組みです。

腕時計のねじ込み式リューズの操作このタイプは、まず下方向(6時側)に回してネジのロックを解除し、リューズが手前にポンッと飛び出した状態(基本位置)にしてから各操作を行います。

 

無用な故障を防ぐ!リューズ操作の厳守ルール

腕時計のリューズリューズは時計の外部に露出しているパーツの中で、最もデリケートな部分の一つです。修理トラブルを未然に防ぐための注意点をまとめました。

操作時は「真っすぐ」引き出し、押し込む

リューズと内部を繋ぐ「巻真」は非常に細い金属の軸です。引き出す際や押し込む際に斜め方向から余分な力が加わると、軸が歪んだり折れたりする原因になります。操作時は常に「巻真の軸線に対して真っすぐ引き、真っすぐ戻す」ことを心がけましょう。

 

リューズを下に向けて時計を置かない

時計を外して机などに置く際、リューズ側を底にして置くのは控えた方が無難です。その置き方自体ですぐに壊れるわけではありませんが、上から物が落ちてきたり、うっかり手で体重をかけたりした際、リューズの軸に直接ダメージが及ぶのを防ぐための防衛策です。日常のさりげない所作として意識してみてください。

 

絶対NG!カレンダーの「操作禁止時間帯」

日付変更機能を備えた時計において、絶対に守るべき鉄則が「操作禁止時間帯」です。一般的な機械式時計は【夜の20時から翌朝の4時】、クォーツ時計は【深夜0時の前後数時間】にかけて、内部の歯車がカレンダーを切り替えるために深く噛み合っています。
この時間帯に手動で無理やり日付を早送りすると、歯車が欠けるなど重大な故障を招く危険性が極めて高くなります。
※最新のムーブメントの中にはこの制約をクリアしたモデルも登場していますが、基本ルールとして覚えておくことを強くお勧めします。

【関連記事】

>「日付変更時の禁止時間帯」とその理由について、分かりやすく解説

 

ねじ込み式リューズを安全にロックするコツ

解除したねじ込み式リューズを再びロックする際、「うまくネジが噛み合わない」と悩む方がいらっしゃいます。コツは無理に「力強く押し込む」ことではなく、「軽く押し当てながら、回す距離(ストローク)を長く取る」ことです。ネジ山同士が自然に噛み合う感覚を探りながら、ゆっくりと長く回すことで確実にロックできます。

【腕時計の「心配」を解消する関連記事】

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一般社団法人 日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター第5期 川口 和良
【当記事の監修者】
川口 和良
株式会社一真堂
ブルージュ一真堂 店長
一般社団法人 日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター第5期|2016年取得。
2005年(株)一真堂に入社。以来20年以上、時計販売や時計修理対応など、腕時計に関するさまざまな実務に携わる。

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