「フランク ミュラーって、曲線を描くケースが特徴のブランドだよね……」
「でも、丸い文字盤のモデルも見かけた。あの丸型には、どんな背景があるんだろう?」
トノウ カーベックスのイメージが強いからこそ、フランク ミュラーの丸型時計に出会うと、少し意外に感じる方は少なくありません。
けれども実は、この「ラウンド」には、フランク・ミュラー氏が独立時計師だった時代から続く、ブランドの原点につながる物語があります。

結論から言うと、フランク ミュラーの「ラウンド」は、ブランドの代名詞であるトノウ型とは別に存在する、伝統的な丸型ケースのコレクションです。
複雑機構を、均整の取れた丸型に収めた通好みの存在。
その造形の源流には、ナポレオン時代の「エンパイア・スタイル」があるとされています。
この記事では、フランク ミュラー「ラウンド」の成り立ちと歴史、ケースデザインの魅力、受け継がれてきた名作機構をご紹介します。
長野県で65年以上ブランド腕時計を専門に扱ってきた一真堂が、店頭での接客経験もふまえて解説します。
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目次
フランク ミュラー「ラウンド」とは

トノウ カーベックスの陰にある、もうひとつの原点
フランク ミュラーといえば、変形ケースのイメージが強いブランドです。
樽型の「トノウ カーベックス」、アール・デコ様式を体現した「ロングアイランド」、スポーティな曲線の「ヴァンガード」など、多彩なケース形状を展開してきました。
その中で「ラウンド」は、独立時計師時代、そしてブランド創業初期から手掛けられてきた、オーソドックスな丸型ケースのコレクションです。
このシェイプには、スプリットセコンド・クロノグラフを筆頭とした複雑機構が搭載されることが多く、天才時計師の魅力を存分に味わえるコレクションです。

メーカーの公式ページでも、ラウンドは「純粋さと控えめなデザイン」を基本とするコレクションと説明されています。
派手さで語るのではなく、端正な造形と機構で語る。
トノウ型とは違う、もうひとつの顔です。
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丸型から始まった、複雑時計の系譜
1979〜1986年|時計学校の首席から、世界初のトゥールビヨン腕時計へ

フランク・ミュラー氏は1979年、ジュネーブ時計学校を創立以来最高の成績で卒業しました。
卒業製作では、ロレックスのムーブメントを永久カレンダーに改良しています。
その後、ジュネーブ市内で新機構の開発を続け、1986年にバーゼルで世界初のトゥールビヨン腕時計を発表しました。
天才時計師の名前が世界に知られたのは、ブランド設立より前のこと。
「複雑時計の巨匠」と呼ばれる評価は、この独立時計師時代に築かれたものです。
1990年代|ブランド設立と、広がるケースバリエーション

1991年にヴァルタン・シルマケス氏と出会い、会社組織としてブランドを設立。
1992年には日本、イタリア、アメリカと販売契約を結び、東京・青山に世界初のブティックをオープンしています。
同じ1992年に誕生したのが、ブランドの代名詞となるトノウ カーベックスです。
ブランドの顔が曲線のケースへ広がっていく一方で、複雑機構へのこだわりは変わりませんでした。
丸型のラウンドは、フランク・ミュラー氏の技術的ルーツを感じさせる存在として、コレクションの中で独自の位置を占めています。
ダブルフェイスに見る、複雑機構の進化

ラウンドを語るうえで欠かせないのが、表と裏に文字盤を持つ「ダブルフェイス」です。
年表をたどると、1990年代にこの構造が大きく進化していった様子が分かります。
| 年 | 内容 |
|---|---|
| 1991年 | ブランド設立前に、モノプッシュ・クロノグラフ・ワールドタイムを搭載した初のダブルフェイスを製作。裏側の針はパルスメーターとして機能 |
| 1997年 | 「コンキスタドール」。ミニッツリピーター、永久カレンダー、ワンプッシュのスプリットセコンド・クロノグラフ、ダブルフェイス・クロノグラフを1本に集約 |
| 1998年 | キャリバー98。表はミステリーダイヤル、裏はルーレットのダブルフェイス |
| 1999年 | キャリバー99。一方は2枚のディスクで時分を示すダブルミステリー、他方は永久カレンダーを搭載 |
| 2000年 | キャリバー2000。一方に時針と分針、他方に永久カレンダーの日付と曜日をレトログラード表示 |
これらはいずれも「複雑機構の系譜」。
ラウンドのダブルフェイス クロノグラフには、この系譜の原点にあたる発想が、いまも息づいています。
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ラウンドのケースデザインの魅力
① 源流は「エンパイア・スタイル」

ラウンドのデザインは、ナポレオンのフランス第一帝政時代に流行した「エンパイア・スタイル(帝政様式)」の影響を受けているとされています。
シンプルな直線と曲線で構成された、均整の取れた様式。
初期モデルでは、円柱にならった縦溝(コインエッジ)がケース側面に刻まれ、太いラグが力強さを添えていたといわれています。
② 3ピース構造が生む、立体的なフォルム
メーカーの公式解説によると、ラウンドのケースはベゼル・ケース・ケースバックの3ピース構造。
適度な厚みのある立体的なフォルムが特徴で、シースルーバックを備えたモデルが多いとされています。
薄さを競うのではなく、内部に収めた機構の存在感をそのままケースの佇まいにする。
複雑機構の時計師らしい設計思想です。
③ 初期モデルに見られる、スターインデックス
文字盤にも、ラウンドならではの個性があります。
ル・マン24時間レースに捧げられたスプリットセコンド・クロノグラフ「7008CCRC」は、初期モデルに見られるスターインデックスを採用しています。
星形のインデックスが、クラシックな丸型に遊び心を添えます。
曲線のフランク ミュラーとは対照的な、端正な丸型。
その分、ベゼルの細さや文字盤の描き込みなど、細部の意匠が際立ちます。
ラウンドに受け継がれる名作機構
スプリットセコンド・クロノグラフ
スプリットセコンド・クロノグラフとは、2本のクロノグラフ秒針を重ねて動かし、片方だけを途中で止められる機構です。
2つの出来事の経過時間を、ひとつの時計で計測できます。
ラウンドを象徴する機構のひとつです。
ダブルフェイス クロノグラフ
ラウンドの「スプリットセコンド・ダブルフェイス・クロノグラフ」は、裏側にもクロノ計測針を備えた複雑クロノグラフです。
ダブルフェイス クロノグラフでは、裏面に次の目盛りが集約されます。
- パルスメーター:脈拍数を測る目盛り
- テレメーター:稲光を見てから雷鳴が届くまでの時間など、音の伝わる速さから距離を測る目盛り
- タキメーター:1,000mを通過するのにかかった時間から、時速を割り出す目盛り
表の文字盤の外周には1種類しか載せられない目盛りを、裏面に専用の文字盤を持つことで集約する。
機能が、そのまま造形の魅力になった構造です。
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ビーレトロ・クロノグラフ
ラウンドの「ビーレトロ・クロノグラフ」は、左右対称にレトログラードを配置したモデルです。
クロノグラフによる30分計と、スモールセコンドを、往復運針で表示する設計です。
針が弧を描いて走り、端まで来ると一気に戻る。
動きそのものが、見どころになります。
グランド セントラル トゥールビヨン|現代に受け継がれるラウンド
時代を下って2022年に発表されたのが、「グランド セントラル トゥールビヨン」です。
トゥールビヨンを文字盤の中央(セントラル)に据え、細いベゼルと中央をドーム状に仕上げた風防で、機構を際立たせています。
イタリアの時計専門誌「L’Orologio」のトゥールビヨン部門で「Watch of the Year」を受賞しました。
1986年に世界初のトゥールビヨン腕時計で注目を集めた時計師の原点が、丸型ケースの中央で回り続ける。
ラウンドの歴史は、いまも更新されています。
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ラウンドと他のコレクションの違い
フランク ミュラーのコレクションは、ケース形状で大きく印象が変わります。
主なコレクションとの違いを整理しました。
| コレクション | ケース形状 | 特徴 |
|---|---|---|
| ラウンド | 丸型 | 独立時計師時代からの伝統を受け継ぐ |
| トノウ カーベックス | 樽型(3次元曲線) | ブランドの代名詞 |
| ロングアイランド | レクタンギュラー(長方形) | アール・デコ様式を体現 |
| マスタースクエア | 正方形 | ロングアイランドの造形を受け継ぐ |
| ヴァンガード | トノウ型+直線の要素 | スポーティで前衛的な曲線 |
曲線や直線でブランドの個性を主張するコレクションが多い中、ラウンドは最もシンプルな丸型。
その分、機構と文字盤の個性が際立ちます。
各コレクションの詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
▶︎ 【フランク ミュラー】マスタースクエアの魅力とは?アール・デコに着想を得た名作を解説
よくあるご質問(Q&A)
Q. フランク ミュラーに丸型の腕時計はありますか?
A. あります。「ラウンド」と呼ばれるコレクションです。
独立時計師時代、そしてブランド創業初期から手掛けられてきた、伝統的な丸型ケースのコレクションです。
Q. ラウンドのケースデザインは何に由来していますか?
A. ナポレオンの第一帝政時代に流行した「エンパイア・スタイル」の影響を受けているとされています。
シンプルで均整の取れた造形が特徴で、初期モデルにはコインエッジと呼ばれる縦溝が見られるといわれています。
Q. 「ダブルフェイス」とはどういう意味ですか?
A. 「2つの顔」を意味し、表と裏の両面に文字盤を持つことを指します。
ダブルフェイス クロノグラフでは、裏側の文字盤にパルスメーター・テレメーター・タキメーターの目盛りが集約されています。
Q. 「セントラル トゥールビヨン」の「セントラル」とは何ですか?
A. 「中央」という意味です。
トゥールビヨンは多くのモデルで文字盤の一部に配置されますが、グランド セントラル トゥールビヨンでは、文字盤の中央に配置されています。
Q. ラウンドを購入するときに気をつけることはありますか?
A. 国内の正規販売店でのご購入をおすすめします。
一真堂は正規販売店のため、メーカー保証やアフターサービスについてもご案内できます。
ラウンドは入荷状況によって入れ替わりがあるため、在庫の有無や取り扱い店舗は、お電話・お問い合わせフォームからお気軽にご確認ください。
実物でこそ伝わる、フランク ミュラーの表情
ケースの厚みが生む立体感や、文字盤の奥行き。
写真では伝わりきらない魅力が、フランク ミュラーにはあります。
ラウンドをはじめ、フランク ミュラーのコレクションを実際に手首に乗せて、サイズ感や文字盤の表情をお確かめください。
スタッフが着用シーンやお好みをヒアリングしながらご案内します。
国内最大級のフランク ミュラー サロンとして、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
まとめ
- ラウンドは、独立時計師時代からの伝統を受け継ぐ、フランク ミュラーの丸型コレクション
- ケースの源流は、均整の取れたエンパイア・スタイル。3ピース構造の立体的なフォルムが特徴
- スプリットセコンド、ダブルフェイス、ビーレトロなど、複雑機構の系譜を丸型に受け継ぐ
曲線のフランク ミュラーとは違う、端正な丸型の魅力。
その背景を知ると、一本の見え方が変わります。
参考:フランク ミュラー公式サイト
店舗情報
ブルージュ一真堂

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駐車場25台完備
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一真堂 松本渚店

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